あれはもう15年以上前の事です。
当時まだ19歳だったかと思います。
ある日突然、血便が出たのです。
「は??え?嘘?血???」
とかなり困惑しました。
こんな事は今までまったくなかったですし、
お腹の調子は割りと良かったからです。
もともと子供の頃はお腹が弱い方の子で
頻繁に腹痛があり、特に給食の牛乳を飲むと痛くなる事が多かったですが、
その後、ビオフェルミンを飲んでいるうちにそういった事もなくなり、
むしろ胃や腸は強い方になったという自覚がありました。
血便が初めて出た当時は、腰によくポシェットを巻いており、
それがいつもお腹にグイグイと食い込む感じがあったので、
それが原因で腸に傷でも付いたのか?!と思いました。
もしくは単なる痔なのか。。
でも、肛門に指を突っ込んだりしてみても、指に血が付いてる事はまったくないのが不思議でした。
ただ、19歳当時の私には病院に行くという選択が出来ませんでした。
- 医者なんて信用できないし、怖い。
- 親に血便があったなんて知れたら、逆に異常に心配されてこっちが迷惑だし、絶対に知られたくない。
- そもそも現在学費を自分で払ってるのに、検査代や治療費なんて払えない。しかも下手したら100万円とかかかるんじゃないの?借金地獄?怖い!
- 実際、「ガンです」なんて宣告されたら、むしろ立ち直れない。むしろガンでも知らない方が楽しく生きていけるわい。別にそれで死んじゃったらそれでいいや。
などなど、恐怖心が上回ってしまい、なんとか自身で収束しようと試みました。
ボラギノールを薬局で買ってみて、試してみたりもしましたが、
その後も血便は出続け、効いてる様子がありません。
ただ、あんまり踏ん張らないようにすると、血が付いてない事、
またお腹が冷えた時にそうなりやすいので、腹巻きをするなど、
お腹をいたわってるうちに数ヶ月後には血便はまったく出なくなりました。
実際に自然治癒したので、安心して過ごしていたのですが、
また1年後ぐらいに同じように血便が出始めたのです。
今回は今回で、急激にトイレに行きたくなって、
うわ、漏れそう!となりながら、トイレに駆け込み、
実際に出すと、血混じりの下痢がブっと爆発するような事が頻繁にありました。
匂いも便の匂いというよりは、膿っぽい匂い。白い塊や薄ピンクの粘液などが
よく出るようになりました。
また便通後にさらに踏ん張ると、ポタポタと鮮血が出る事もありました。
ただ、同じように、お腹を腹巻きで冷やさないようにしたり、
極力踏ん張らないようにしてると、血はやがて出なくなり、最終的にお腹の調子も1,2ヶ月で治るので、
毎回そういう事が起こっても病院にはいかず、自然治癒に任せるようになりました。
当時は
「きっとガンかなんかで早死するんかもなぁ」
なんて思いながらも、別にお腹に痛みがあるわけでもなく、
トイレが近い以外はそんな不便もなかったので、放置し続けました。
大体、毎年、2,3ヶ月この状態になる。
ならないためには、出来る限りお腹を冷やさない。
それを自分の中の対処法として、15年以上、今までなんとかなっちゃったのです。
ついに大腸内視鏡検査を受けた
そんな私も36歳、あれから16年位経ったのですが、
また最近、お腹の調子がどうもおかしくなってきました。
おならと一緒に毎回変な液体が出て来るようになったのです。
ここの所、ダイエットのために玄米、もち麦、プロテインドリンクに、糖質ゼロ麺などの
変わった食事を取っていたので、それのせいで便秘になったり、逆に下痢になったりが多かった気もしたのですが、
結局またその後、血便も出始めたので、
「ああ、また今年もやっちまいましたか。。」という感じでした。
そして、ついに私は大腸内視鏡検査を受ける事にしました。
頑なに15年以上、腸の検査を受ける事は拒み続けてきましたが、
今年は今までとは条件が違いました。
- ここ10年は海外滞在が多かったため、あまり医者にはかからなかったが、
日本に帰ってきて、医者に診てもらう事が多くなり、自分が子供の頃とは医療技術もだいぶ変わって、昔とは違う印象になった。今の医者は信用しても良いかもと思えた。 - 10代の頃と違って貯金もあるし、医療給付制度などの知識もあるので、高額費用に怯える必要がなくなった。
- 悔いのないようにやりたい事やって生きてきたし、ここで大腸ガンとかやばいのにかかってもまあいっか。という精神的許容が出来るようになった。
- いい加減、何が原因で自分は血便やらトイレが近いやらなってるのかが知りたくなった。
- ちょうど近所に評判の良い消化器科、大腸肛門科の先生がいた。
という心持ちが大幅に変わった事もあり、実際にその大腸肛門科の先生に診察してもらい、
内視鏡検査を受ける事になったのです。
結果、自分は難病だった!
あんなに血便やら下血やら、突然のさしこみと共にトイレで下痢やら、膿のようなものが出たとかいろんな事があったのに、腸内にポリープや傷などは見つかりませんでした。
しかし、先生が「ああ~このまだらの部分、分かります?大腸炎ですね~」と病状を伝えてきました。
私は潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)という、安倍首相も以前患っていた難病だったのです。
潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とは
厚生労働省指定の難病で、慢性的な腸炎です。
潰瘍性大腸炎はクローン病とともに腸の粘膜に慢性の炎症を引き起こし、潰瘍などを生じる炎症性腸疾患と呼ばれる病気の1つです。
潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解第6版、キョーリン製薬冊子から引用
画像を見てもらうと分かると思うのですが、左上の画像は綺麗に血管が枝分かれしてるのが見えますよね。でも他の画像はそれが見えずまだらですよね。
このまだらなのが、潰瘍性大腸炎です。
本来、正常な腸というのは、血管がくっきり見えるんです。
逆にそれが見えないで、まだら状になってしまっている部分は炎症を起こしてるという事なんです。
私の場合、大腸の奥の方は正常でしたが、
肛門からS字結腸にかけてが、この潰瘍性大腸炎になっていました。
潰瘍性大腸炎は原因不明
現段階では、潰瘍性大腸炎はそうなってしまう原因が不明なのだそうです。
遺伝説、牛乳や食べ物、科学物質などに対するアレルギー説、神経質な性格やストレス原因説、免疫異常などが原因ではと言われてはいますが、結局の所はまだ結論が出ておらず、これらが複合しているのではと言われています。
そして、未だに完治する方法は分かっていません。
完治はしませんが、ずっと症状がでているわけでもありません。
なにもしなくても、症状はしばらくすると勝手に治まります。
まさにそれは私が長年経験してきた事とピタリと一致します。
そう、勝手に治るんです。でもまたある日再発します。まさにアトピーやヘルペスのような感じですね。
薬で寛解させる事はできる
そして、完治方法はまだ分かりませんが、寛解(一時的にちゃんと治し、症状が出ないようにする方法)はすでに確率されています。
自民党の安倍晋三さんが、2006年に初めて首相になった時、1年で体調不良で辞めてしまったという事がありましたが、これも潰瘍性大腸炎だったわけです。
今は寛解の特効薬であるメサラジン(アサコール、ペンタザ)があるので、
下痢や血便、粘液便などの症状を抑えて、短期間で正常な腸に戻す事が出来るようになりました。
実際に安倍首相が再度首相になってからは、体調はバッチリの様子ですよね。
あれを見ればこの薬がしっかり効いている事がよく分かります。
私自身も、これを飲みつつ、肛門から注入するステロイドであるプレドネマ注腸(プレドニゾロン)を使っていますが、使い始めてからすぐに血便は止まり、おならをしても粘液が一緒に出なくなりました。
非常に効果を実感しています。
血便止まったし、薬やめていいの?
私が先生から潰瘍性大腸炎の説明を受けた時にした質問です。
私「あの~薬は血便や下痢が止まって、調子が戻ったら、もう服用しなくても良いんですかね?症状が出た時にだけ使えば良いですか?」
先生『確かにそうしてる患者さんもいます。しかし私としては、症状が出なくなってもずっと薬を服用し続ける事をオススメします。確かに潰瘍性大腸炎は、治ったり、また症状が出たりを繰り返す病気なのですが、薬をやめると悪化する人が多いんですよ。
逆にずっと薬を服用し続けてる人というのは、再発せずに寛解をキープしてる人も結構いるんで、なので服用し続ける事をオススメします。
ただ、症状に合わせて薬を減らしていく事は出来ますよ。例えば注腸薬はやめて、飲み薬だけにしたり、飲む回数を減らしたりとかは今後可能です。』
との事でした。
この「悪化する」というのがポイントで、
確かに潰瘍性大腸炎は別に薬を飲まずに放置してても、ある日突然自然にでも治ります。
でも繰り返しまた症状が出ます。
それを繰り返していると、潰瘍性大腸炎の範囲が広がっていったり、重症度が増します。
先生によると、潰瘍性大腸炎は、最初肛門付近で発生し、徐々に大腸を登っていくように患部が広がっていくそうです。
私もこの15年でS字結腸部分まで広がったのだと推測します。
最終的には大腸全体にまでまだらやただれが広がって、あまりにも悪化すると、大腸全摘出手術なんて事になるそうです。私はそうなる前に今回大腸内視鏡検査を受けて、素晴らしいお薬と出会えて良かったと思ってます。
完治方法はまだ見つかっていないとはいえ、薬を飲んでいれば、トイレに駆け込んだり、血便に悩んだりという事がなくなるわけですから。
薬代、検査代は援助が出る可能性も
ちなみに今後、これらの薬を毎日使用していくとなると結構なお金がかかったりします。
また今後先生に再診してもらったり、再検査してもらっていくのもお金がかかりますよね。
実際、私も上記の
- ペンタザ顆粒
- プレドネマ注腸(プレドニゾロン)
の2つの薬を2週間分処方してもらうのに、6120円もかかってます。
一ヶ月で1万円越えますから、結構高額です。
ただ、潰瘍性大腸炎は厚生労働省指定の難病なので、
特定医療費(指定難病)受給者証の申請をすれば、医療負担を減らす事が出来る可能性があります。
申請の仕方は
まず、ご自身のお住いの都道府県のサイトへ行き、
特定医療費(指定難病)受給者証の申請方法を調べます。
Googleで「特定医療費(指定難病)受給者証の申請 〇〇県」のような形で検索すれば出てきます。
そこで都道府県のサイト(及び厚生労働省のサイト)から
特定医療費支給認定申請書をダウンロードしてご自身で記入したり、
診断書(臨床調査個人票)をダウンロードして、指定医に診断書を記入してもらいます。
サイトに書かれている必要な書類を揃えて、保健所へ提出する事で、
申請が通れば、医療負担を年収によって減らす事が可能です。
食事は別に何を食べても良いが。。
食べ物は基本的に何を食べても良いんだそうです。
ただ、症状が出ている時は、消化に良い物が勧められます。
消化に良いものというのは、
肉、魚、白米などです。
逆に消化に悪いものというのは、
野菜、雑穀米、油などです。
「え?野菜とか雑穀米の方が、健康にいいし、消化にも良いんじゃないの?」と思ったと思います。
確かにダイエットや健康維持には、それらは非常に有効です。
私自身も実感してます。
しかし、それらは消化に良いわけではないのです。
野菜や玄米などの雑穀米などは、硬い表皮に覆われているので、
消化に時間がかかったり、消化されずにそのまま排出されたりします。
私ももち麦や糖質ゼロ麺なんかは、食べるとやたらおならが出たり、
下痢になったりします。ごぼうなんかは逆に便秘になったりします。
健康やダイエットには良いけど、消化に良い食べ物ではないのです。
すぐ胃液に溶けて消化してくれるのは、むしろ肉や魚、卵なのです。
しかし、先生によると、油も消化にあまり良くないそうで、
脂っこいものも食べすぎない方が良いと教えてくれました。
たしかに最近は植物油やマーガリン(トランスファット)の危険性もよく議論されるようになってきてますし、太る原因や血管が詰まる原因にもなりますから、
脂分を減らす事は確かに良い事でしょうね。
ただ、寛解している間は基本的には何を食べても大丈夫です。
症状が出てる時はそういった食べ物は控えた方が治りも早いです。
また、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、アルコール、熱々の食べ物やかき氷のようにすごく冷たい食べ物など、刺激的な食べ物が影響する事もあるようです。
私なんかは確かにお腹が冷えるとすぐくだるので、冷たい食べ物はほどほどにするようにしてます。
もし、血便が下血があるのであれば。。
もし、あなたも血便や下血があるのであれば、一度大腸内視鏡検査を受けてみる事をおすすめします。
https://kenbitai.com/post-1173.html/
https://kenbitai.com/post-1168.html/
もしかしたら、単なる痔かもしれませんし、
逆に私のように潰瘍性大腸炎、もしくはポリープがあったり、ガンが発見されたりという事もありえます。
(ちなみに私の祖母と父も大腸内視鏡検査を過去にしてて、ポリープが見つかり、切除しています。)
何が出るかは調べてみないと分からないというのが現状ですが、
今回書いた事で、症状が重なるようであれば、潰瘍性大腸炎の可能性が高いです。
潰瘍性大腸炎は確かに放置してても、自然に治る病気ですが、
繰り返すうちに悪化していきます。
私の場合、15年以上放置してたわりにそこまで広がってなくて、手術などにならず良かったですが、そうなってしまう前に早期発見する事が大事です。
飲み薬だけで症状を抑える事も出来るので、お腹がすぐ痛くなったり、急にさしこんできてトイレに駆け込むという事もなくなってとても快適になります。
以前の私のように、精神的に検査なんて無理という人もいると思います。
でも今はネットで多くの事が調べれる便利な時代になりましたから、
恐怖や疑問はどんどん調べて解決し、安心出来たら検査を受けてみると良いと思います。